ハチドリのブラジル・サンパウロ(時々日本)日記

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2018年 05月 02日 ( 1 )


2018年 05月 02日

サンパウロ・旧セントロ地区のビル火災について・・・

毎日記事は更新しない・・・と昨日宣言したばかりですが、5月1日未明に、サンパウロ市旧セントロ(中心街)地区の23階建てビルで起こったビル火災について、私の身の回りで「サンパウロのビル火災をニュースで知ったのだけど大丈夫?」と心配するメッセージをいくつか頂きましたので、お返事のつもりで書かせて頂きます。1960年に建築されたこのビルは、23階建てで、構造はガラスと鉄骨により出来ている点から、あのニューヨークの旧WTCビルと似ているとのことでした(Google Mapで元のビルの姿が見られます)。昔栄えたセントロ地区に出来たこの近代的なノッポビルは、周囲でも抜きん出て近代的なビルで、とても目立っていたことでしょう。建設当時、全面ガラス張りのこの近代的なビルは観光地化され、誇りを持って見上げる人が多かったそうです。1960年のビル完成以降は、一流会社が入居し、商業ビルとしての役割を長年果たし、時を経て所有権トラブルから、最終的には国に撤収されました。ある一定期間は連邦政府の重要機関が入居していたこともありました。実は…私の夫であるトリオさんは、直属の上司がこの組織のトップになられたのをきっかけに、州政府機関から上司と共にこの連邦政府機関に出向し、12年間このビルの18階のDiretoriaエリアで補佐官として一生懸命仕事をしていました。それ故、ビルの辿って来た経緯や周辺の地理を人より少しは詳しく知っていたのです。その後その連邦政府機関はLAPA地区にビルを新築し、そちらへ転居することになりました。引き渡し後は、同じ連邦機関である社会保険庁などが入り、業務を続行。建物の老朽化と共に、その組織も退去し、他へと移りました。但しこのビルは国の歴史建造物に指定されており、勝手に取り壊しが出来なかったのを良いことに、その後空きビルになった建物が、近年ホームレスの格好の住まいとなっていたようです。今回火が出て全焼してしまったのは、勝手に移り住んだホームレスが、炊事に使っていたプロパンガスの引火が原因と言われています。昨日は一日中、Rede Globo局などテレビ局はこのニュースを流し続けていました。じっと静かにそれを見ていたトリオさんの横顔が少し寂しそうでした。

「さみしいね・・・」
「うん、そうだね。でも実際に長年使われていなかったビルだったから、早く壊すべきだったんだよね」
「そうだね、でも何故長年放置したの?」
「それはね、サンパウロ市内にもたくさんある歴史建造物で法律で勝手に壊せないからなんだよ」
「へぇ~~」
「最上階にはステキな展望レストランがあったんだよ、そこで良くT氏(上司)と食事したもんだ」
「懐かしいね、もうTさんも亡くなられたものね」
「うん。。。。。。」

そう言えば、私がセントロの業者のところに車で仕事に行く途中、平行していた道で、遠慮なくクラクションを鳴らす失礼な車の運転手の顔を見ると、あのトリオさんの上司であるT氏が笑顔で

「〇〇〇(私の名前)Bom Dia!!元気?」

と明るく挨拶してくれました。あんなに偉い方が気さくに街中で挨拶してくれたのが昨日のことのように思い出されます。あの頃この焼けたビルの18階で大切なお仕事をされていたんだな~なんてしみじみ思い出していました。後に、T氏は政界に進出し、サンパウロ州選出の上院議員となられ、首都ブラジリアに行かれてしまったので、トリオさんと同僚で事務の後片付けをして、このビルから元の職場に戻ったとのことでした。

「あれからもう30年・・・ちょっと前のことのように思うけどね」

としばしこの焼失してしまったビルに思いを馳せました。そうか…あの頃は私自身も子どもが小さくて、3人の子育てに忙しく飛び回っていた時期でした。そのせいか、あまりトリオさんの仕事に関心がなかったのか、仕事場の住所は一応把握していたものの、そのビルに近付いたことも行ったこともありませんでした。男性にとって、元仕事場が火事で焼けて無くなってしまうこと…それはある意味丸々想い出が一瞬にして消えてしまうことを意味するものなのかもしれません。ある一時期、このビルの中でたくさんの重要な業務が行われ、何百万人もの人が出入りしていた時代を間近で目撃してきたトリオさんには、切なく寂しいことだったかと思います。今も懸命に生存者を探しているサンパウロ市消防局の皆さまの働きには頭が下がります。また、火事で焼け出された方たちへの慈善活動が盛んに行われています。衣類・食料品などを持ち寄り、立場の弱い方々に寄り添っておられる市民の方が多いのは何よりの明るいニュースです。世界中を駆け巡ったこのサンパウロビル大火災のニュース、実は本当に身近な存在だったことをここでそっとご報告させて頂きます。改めてある組織で45年間も真面目に働き続けてくれたトリオさんに感謝しないといけませんね。最近耳も遠く、すっかりおじいちゃんになってしまいましたが、どうか長生きしてください!!
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by beijaflorspbr | 2018-05-02 22:52 | サンパウロ生活情報