ハチドリのブラジル・サンパウロ日記

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2009年 06月 12日

歯の激痛に耐えた日々…(ハチドリの呟き)

私は歯があまり丈夫ではない。
子どもの頃から歯磨きが足りないと叱られ続けてきた。
歯列の問題で、あの時代(今から40年以上も前)に
当時日本に入ったばかりの歯列矯正をしていた。
当時矯正科は東京医科歯科大学などの大きな大学病院にしかなかったので、
定期的に前橋からせっせと通った。
次に父が岡山に転勤になると夜行列車で岡山から東京に通った。
後に我が娘がこの同じ大学病院で研修生として勉強をすることになるというのは
何かのご縁だったかもしれない。
結局歯列矯正よりも元々問題があってちゃんと生えなかった歯を抜歯し、
ブリッジをして何とか体裁を保って治療は終わった。
しかし長い間矯正器具をはめていたために、奥の虫歯は激増した。
若いころから良く歯科に通っていた。
その頃の治療がよほど良かったのか、最近は半年に1度くらい歯石を取ってもらいに
歯科医院へ通う程度だった。
時々歯茎が腫れて、お掃除に行った以外はあまり深刻な問題はなかった。

が、しかし今年の4月、忘れもしないあの大雨の京都・嵐山に娘と行った日、
右下奥歯に激痛が起こったのだ。それまでに度々鈍痛はあったが、
我慢できる程度のものだった。
その日はずっと我慢していたが、もうどうにもこうにも我慢できなくて途中下車をして
不慣れな町の薬屋に飛び込んで薬剤師と相談のうえ、鎮痛剤を買った。
そのソフトな鎮痛剤は実に良く効き、ほどなく苦痛から逃れることができた。
元々鎮痛剤は飲まないので、程よく効いてくれたのかもしれない。
その後鈍痛もあったので、すぐに歯医者に行けば良かったのだが、日本から
こちらに戻る直前だったので、忙しくて歯科医院に通う時間が取れなかったのも事実。
まあサンパウロには歯科医の娘もいることだし何とかなるか…、
と軽く考えて帰ってきたものの、その痛みは時々私を苦しめた。
痛みの原因は歯磨きが足りなくて、加齢のせいもあり、歯茎にバイ菌が入って痛いのだ、
と信じきってていた。娘に言うとまた「歯の磨き方が悪い!!」と
叱られるに決まっているので、カッコ悪いから言わないようにしていた。
それより何より、彼女も独立してからたくさんの患者さまに来ていただけるようになり
多忙を極めていたので、あまり言い出せないのも事実だったのだけど…。
毎朝7時前には出勤し、夜は10時過ぎにフラフラになって帰宅というのを間近で見ていると、
これ以上の負荷はかけられないな、と勝手に思ってしまう母なのだった。

が、しかし昨日家族のやや深刻な問題で日本とやり取りをしているうちに
「あの」激しい痛みが私を苦しめ始めた。
前回の痛みの原因も、強いストレスだったが今回もそのようだ。
もうどうにもこうにも我慢できなくて取り敢えず鎮痛剤を飲んだが痛みは治まらない。
ブラジルは昨日から聖体祭という祭日で、実質4連休中だったこともあり、
仕方なく「最後の手段」で、在宅の娘に痛みを訴えた。
訴えたというのは正確ではない。家族の食事の支度をしてもなかなか昼食を摂ろうとしない
私を娘がいぶかしんだというのが事実。
食いしん坊の私が昼食も食べられないで苦しんでいる状況を見て家族も初めて驚いた。
仕方なく正直に状況を話す。

「今からすぐに診療所に行こう!」
身支度をして連れて行ってもらったのが2時過ぎ。
娘に診てもらうのは8か月ぶり。
痛い場所のレントゲンをすぐに撮ってくれる。
「あ、すごく大きな虫歯があるよ」
でも歯全体を覆う頑丈な歯冠が邪魔をして治療ができないという。
「う~ん、取れない」
「ゴンゴン・・・取れない…う~んう~ん」
「どうやって取るのこれ?」
なんてブツブツ言いながら懸命に治療をする娘。
鋭い道具の歯先で少しずつ少しずつ歯冠を切開しながらやっと取れたのが1時間後。
娘も汗だくに…。

…っと治療をしてもらったのだが、ここで急患の患者さんが来られた。
その方もかなり難しいケースだったようで、2時間悪戦苦闘。
その間私は寒さに震えながら娘のジャケットを足にかけて診療所の倒れる椅子で
DVD鑑賞。「スノウバディー」というゴールデンレトリバーの物語だ。
これは今回私がアマゾンで買ったもの。
椅子の位置を勝手に直したりして暇を持て余す。
あまり広くない2つの診療所を精力的に動き回る娘。
ほぉ!歯医者って随分ハードなんだなあ~、感心した。

2時間後、患者さまの治療が終わってやっと私のところに戻ってきた。
「今日の治療はもう終わり?」
「いやこれからだよ。もう一度レントゲンと麻酔をするね」
「ひぇ~~~」
「ちょっと痛いけど頑張ろうね」
「ママ、この歯、相当前から悪かったみたいだよ。根の深いところまで虫喰っている」
それから延々また1時間半ほど、削って神経の治療もし、消毒をし、
治療した歯に蓋をし終わった頃はもう辺りは真っ暗に…。
「あ~~~もうづかれだ~~~~」
休みということもあり、友達から次々にお誘いの電話やらメールが入るが、
「さすがに今日は疲れて出かけられないわ!」

歯医者の仕事は治療してそれで終わりではない。
患者さまが帰られてからの後片付けがこれまた大変なのだ。
行きがかり上、私も白衣を着て手袋をして治療器具の後片付けや洗浄や消毒作業を
手伝った。今日の患者さんは二人とも重傷だったので、器具も半端な数じゃない。
洗い終わって消毒の機械に入れたらもう7時を回っていた。
まっすぐ家に戻り、彼女の希望で急いで煮込みうどんを作って食べさせた。
私の痛みは彼女が断言した通りウソのように消えた。
何故半年近くもこんな深刻な痛みを我慢していたんだろう?

「日本人ってすごく痛みを我慢するよね」
「家族に歯医者がいて良かったね」と娘、これは確かにそう。
もしこの子がいなければ、痛みでのたうち回ってもきつめの痛み止めで
痛みを抑えるしかなかったのではないだろうか。
歯医者になると言い出した10年前から、授業料や道具などかなりの出費は覚悟
したけれど、結果オーライで良かったなあ。
親の目からみると頼りない子でも、こうしてプロフェッショナルとしての仕事ぶりを
間近に見せてもらうと、何だか頼もしく見えて嬉しかった。

まだしばらく治療は必要だが、痛みのない朝の目覚めは爽やかだった。
今日からはきっと食欲も少しずつ戻るに違いない。
これからはもっと歯を大切にしよう。
そしてデンタルフロスを使っての徹底した歯磨きも心がけることにしよう。
娘のエル、5時間もお疲れさま。
そして今日が祝日で本当に良かった。。。
歯の激痛に耐えた日々…(ハチドリの呟き)_f0146587_09432308.jpg
☆皆さまへ
歯の痛みは絶対に我慢してはいけないそうです。痛い時はもう既に症状がかなり進んでいます。痛みを我慢しないこと、半年に一度は歯医者に点検をしに通うことが大切なのだとしみじみ思わせて頂きました。それと、日本人とブラジル人の歯の治療に関する考えの違いもあるようです。貧富の差が激しいこちらの国では、富裕層~中流の人の歯は皆綺麗です。治療の他に、ある程度の年齢になったら矯正や、歯をより美しくに見せるためのホワイトニングなども盛んに行われています。日本人はその点、皆ある程度の経済力がありながらも歯にはあまりお金をかけないのかしら?とは娘の感想です。一生付き合う歯、大切にしましょう!最後に我が娘に感謝の一日。気がかりな日本のこともポジティブに考えて行こう!!

by beijaflorspbr | 2009-06-12 18:50 | 人生 | Comments(14)
Commented by おろ・おろし at 2009-06-12 20:31 x
私の長女は、
乳歯が生え変わらず、就職して2年目の今年、
インプラント手術をしました。

日本では、
歯医者の数は、コンビニよりも多いので、大変なんですよ
とは、知人の歯医者さんの話です。
Commented by ロビン at 2009-06-12 20:39 x
ハチドリさん、大変だったのですねえ。お疲れさまでした。。
痛みがあるというのは、身体がモンダイを訴えてるんですね。最近では歯医者に行く時には「痛み」とか「虫歯」といった理由よりも、古くなったクラウンをどうしても新しいものに代えなければならないとか、そういったことで行くことが多くなりました。歯科治療は決して安価ではないので頭がいたいです(苦笑)。とはいうものの、ハチドリさんも仰っているように、美しい口元は大切ですね。私もヒトと会っている時は、どうしても相手の方の口元に目がいってしまいます。(私自身のコンプレックス故です^^)コドモの頃に、もっと歯科衛生に気をつけていたらとく悔やみますが、これからは健康な歯を大切にしていきたいと思います。
Commented by maikojazz at 2009-06-12 21:26
ハチドリさん、歯が痛いのは大変でしたね。そして長い事がまん
されていたとのこと、あのズキンズキンとした痛みを想像します。
でも娘さんに委ねてよかったですね。すっかりよくなりましたか?

従兄が歯医者なので、私は3ヶ月に一度くらいは検診とwhitening
してもらっています。妊娠してからはwhiteningはできないという
ことで、しっかり機械で磨く程度になりましたが。
確かに日本人はファッションにはお金をかけるのに歯にお金を
かけないのが不思議です。アメリカの会社で働いていたことも
あり、私はとにかく歯が気になります。上司はみんな歯が美しく
真っ白で、入社当時はびっくりしました(笑)。いまは、ある程度
キャリアのある人はやっぱり歯が綺麗でないと、と思う次第です。
特に人の前に立って話をするような立場の人にはしっかりケアを
して、好印象を残してほしいなあと勝手に思ったりします^^
Commented by 亜美 at 2009-06-12 22:44 x
ご無沙汰しております。パートに出始めて一か月半・・ようやく少~し慣れてきたでしょうか。。でもまだ家事に追いたてられています(^^ゞ 久しぶりの社会(大袈裟?)はなかなか厳しいです! 数々のブラジルのごちそう、とても癒されます。 シンプルで豪快なお料理、いい意味でのいい加減さ・・出稼ぎの日系のブラジル人の皆さん、日本でのお仕事、慣れるのにきっと大変御苦労されたでしょうね~・・。 いつもブログは拝見していますのでまた楽しい記事で癒してくださいね(*^_^*)
Commented by 50 111 at 2009-06-13 00:46 x
 はじめまして。エルさんが日本で研修されておられたときに同じ医局でお世話になりました50111と申します。
 二年前に学会でブラジルに参りました折にサルバドルのお友達を紹介していただき、お友達にもエルさん本人にも大変お世話になりました。
 その折にエルさんからこのブログを教えていただきました。ブラジルの話だけでなく、私の母が大阪出身で私自身も京都出身ということもあり、これまで日本ブラジル両方のお話を楽しく読ませていただいておりました。
 今回エルさんの大活躍を読みまして思わずコメントを書いてしまいました。とりとめがなくて申し訳ありません。
 冠の除去一時間はエルさん、ハチドリ様共に相当大変な治療だったと思います。私事ながら先週差し歯が取れてしまった母の治療を自分が専門バカの小児歯科専門医であるばかりに治してあげられなかったのでより一層感心しながら読ませていただきました。立派なGPになられたエル様には本当に頭が下がります。
 これからのハチドリ様の口腔内の平安を心よりお祈り申し上げます。
Commented by love-t_k at 2009-06-13 01:37
おや、娘さん歯医者さんなんですね。
私も歯はあまり丈夫じゃないんです。
でも掛かり付けの歯医者さんはお友達なので結構助かってます。
今からじゃ遅いけど歯は大事にしないとですよね^^
Commented by beijaflorspbr at 2009-06-13 10:52
★おろ・おろしさん、そうですか。お嬢様お若いのにインプラントをされたの
ですね。私の時代は矯正器具を使って生えなかった歯を引っ張る治療を
受けていました。あの時代にインプラントがあれば良かったのですが。
確かに歯科医院は過剰気味のようですね。ここも同じです。
だからこそ専門分野の勉強をして専門性を高めないといけないと娘は
言って今でも日々勉強に励んでいます。しっかり応援してあげます!
Commented by beijaflorspbr at 2009-06-13 11:05
★ロビンさん、はい結構大変な日々でしたが、すっかり楽になりました。
私の場合は、強いストレスで痛みが増すようでしたが、どっちみち
娘の目の前で激痛が襲ってきた時はラッキーでした(笑)。じゃないと
なかなか診てもらえませんものね。

クラウンなどはどうしても経年劣化が進みますね。私のは治療した横から
虫歯がじわじわと増えてきたようで、ひとえに歯磨きの仕方に問題がある
ようです。これは何度も怒られましたから…。

ロビンさんもわざわざ海外に治療に行かれたのでしたよね。あの記事は
とっても参考になり、今娘は時々綺麗なライラック色の診療着を着ています。
また色々教えてくださいね。

健康な歯を大切にして、美味しいものをたくさん食べましょう!(笑)
Commented by beijaflorspbr at 2009-06-13 11:13
★maikoさん、そうなのです。頭の芯までじんじんするどうしようもない
痛みは耐えがたいですね。そんなに我慢しなくてもよかったのにね!
はい、もう痛みは嘘のように消えてしまい、今日から食事も普通に
摂れるようになりました。

従兄さんが近くで歯科医をしていらっしゃると良いですね。
私も日本にお気に入りの歯科医院があり、せっせと通っています。

妊娠中は、ホワイトニングはできないのは何故?と今娘に
聞いてみたところ、薬品が害を及ぼすのだそうですね。
健康な赤ちゃんを産むために我慢ですね、maikoさん(*^_^*)!

アメリカも歯列矯正が進んでいますから、皆歯がとっても綺麗。
ブラジルもそうなのですよ。俳優や女優は間違いなく真白な歯で
笑っています。その後NHKの街頭インタビューなどを見るとああ!
とガッカリ…。いつか銀座のブランド店で100万円以上の時計
を買ってしまいました、と言っていた男性の歯がもう(--〆)
お金のかけどころが違うのかな?と思った瞬間でした。
Commented by beijaflorspbr at 2009-06-13 11:18
★亜美さん、こちらこそご無沙汰しております。お元気そうで何より!
パートにも慣れて良かったです。家事との両立はなかなか厳しいものが
ありますよねえ。頑張っている亜美さんに心からの拍手を贈ります!

そうですか、ブラジルで美味しいものばかりを食べて…と批判的な
目で見ている方も多いかもしれませんね。少し遠慮しながら書いていますが、
食べ物の記事を書く時が一番私としては楽しいのですよね。

これからも応援して頂けたら嬉しいです。コメントを頂かなくても、
「読んでいますよ」というこうしたたまの声がとっても有難いです。
亜美さんもお忙しい日々かとは存じますが、どうか頑張ってくださいね。
何よりご自身のために…。
Commented by beijaflorspbr at 2009-06-13 11:34
★50 111先生、初めまして!
コメントを頂き、大変嬉しかったです。まず娘が医局では大変お世話になりありがとうございました。先生のお話はエルから聞いておりました。慌ただしい学会のスケジュールの中でブラジルは先生の目にどう映ったのでしょうか。

まさか先生がこのブログを読んでくださるなんて、とエルも大変驚いていました。そして「まさか変なこと書いていないだろうねえ?」と咎められましたけど…(笑)。

お母様の治療がおできにならなかった…というところでは二人でもう大笑い!確かに我が子も今は小児歯科&矯正もぼちぼち始めていて少しずつ前進している、といった段階です。が、私が実験台になってでも(ちょっと怖いけれど)経験を積んでもらいたいですね。因みに私の次回の治療は診療所に来てくださる神経治療専門の先生にお願いすることになっています。ホッ=♪

ところで来月の中旬、娘とともに帰国いたします。娘の帰国は3年ぶりです。お世話になった大学にご挨拶に伺うと言っていましたが、先生ともお会いできると良いですね。娘の滞在は僅か3週間、時間との勝負になりそうです。今度とも母子どもどもどうぞ宜しくお願い申し上げます。
Commented by beijaflorspbr at 2009-06-13 11:39
★love-t_kさん、はい一応歯医者をしています。
小さい時からとっても器用な子で、ビーズ遊びや細かいことを
好んでする子でしたね。彼女には適任かと思います。
そうですか、歯が丈夫じゃないと食べ物が美味しく食べられなかったり
美味しく感じなかったりしますね。それが困ります(笑)。
お友達の歯医者さんというのはいいですね。
私の娘も1日の診療が終わった最後に、お友達をアテンドして
そのまま食事に行ったりしているようですよ。
お互いに歯を大事にしましょうね~♪
Commented by cookery-world at 2009-06-14 01:18
ハチドリさん、遅ればせながら、お見舞いもうしあげます!
「写真見るだけでお腹いっぱい」というハチドリさんはちょっと変だなと思いながら、出かける前の忙しさにかまけて、こちらへ伺えずにいました。 歯が痛いというのはホントに辛いですよね。 以前親知らずを放置してたら、虫歯になってしまって、腫れあがり、抜くに抜けず、何日か泣き明かした記憶がよみがえってきました。 ワタシもすっかり定期健診をサボっているので、今度の帰国期間に歯医者へ行かなくっちゃ。 歯が弱る時って身体全体が弱っている時でもあると思うので、ハチドリさん、お身体お大事にね! いろいろ気がかりなことがあるご様子ですけれど、早く解決して、ハチドリさんの気が晴れるようお祈りしてます。
Commented by beijaflorspbr at 2009-06-14 11:59
★cookeryさん、こんばんは。
ふふふ…cookeryさんとは結構長いお付き合いになりましたので、
「ちょっと変だな」とお感じになったのですねえ。そうなのです、ずっと歯痛で
苦しんでおりました。親知らずも早めに抜かないと大手術になるそうですね。
この国では「親知らず抜歯専門医」もいるそうですよ。私の娘は、大学の
教授に抜歯してもらっていましたもの。私を反面教師として、
cookeryさんも歯の健康に十分気を配ってくださいね。
心配事は帰国してから着手します。まあ人生色々ですわ。。。
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