ハチドリのブラジル・サンパウロ日記

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2008年 11月 16日

渡伯32年目に思う 

今日11月16日、私が渡泊して丸32年目が過ぎた。日系人の夫と縁あって結婚をし、何も知らないままこのサンパウロという巨大都市にお嫁にやってきた。一概に32年と言ってもあまりにも色々なことが有り過ぎて一言では語り尽くせるものではない、が今思えば
「ブラジルに来て良かった」
「ブラジルを知ることができて良かった」
「ブラジルでたくさんの友と出会って良かった」
「可愛い子どもたちを授かって良かった」
ということだろうか。
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人間的にも未熟だった私を温かく受け、包み込んでくれた「ブラジル」という国、そしてこの「サンパウロ」の街に住み、子どもを産み育ててきた。何の心配もなく、心地良い家に住み、道路も覚え、運転にも慣れ、言葉も徐々に覚えると物足りなささえ感じた。一時は友達が欲しくて、子どもを女中さんに預けて(昔は3人置いていた時期もある)ほぼ毎日お稽古ごとに明け暮れ遊び歩いていたこともあったっけ。30代に入ってそんな自分に焦りを覚えた。これから10年後もこんな暇つぶし的なことばかりやって生きていくのだろうか!?それではいけないと、自らを叱咤激励して始めた自分にもできる仕事。それを授かった20年前からは、それにのめり込みがむしゃらに突っ走ってきた。子育て真っ最中が、仕事の忙しさのピークで、学校の送り迎えに遅れるなど、子どもたちには多大な迷惑をかけたことは大いなる反省材料だ。どんなに余裕がない時でも、調理の手間だけは省いたことはなかったが…。それと、もう少し言葉が分かって勉強を教えることができたらまた違う結果になっていただろうか?子育てに対する反省点は挙げたらきりがないほどだ。その点では少しの不満が残る。
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ブラジルは今、確かに治安が悪く、貧富の差も激しく、一歩外に出たらビクビク怯える日々だ。カバンは肌身離さず、ポケットには見せ金、貴重品は身に付けず周囲を良く見回して足早に歩く癖はもう私の身に付いてしまった。乗り物での居眠りなんてもっての外だ。居眠りどころか、目をぎらぎらさせて周囲を見渡している。悪いところばかりでは救いがない。私はこの街に対して常に「美点凝視」をしてきたつもり。街の木々の鮮やかさ、大きな花を付ける街路樹、路地を行く人たちの目の温かさ、フレンドリーなブラジル人との楽しい会話や触れ合いが自然に行えるまでどれくらいの期間を要したことだろう。恐らくたいして時間はかかっていない。それほどブラジル、特にサンパウロという街は、異邦人に優しい街なのだろう。
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100年前に一攫千金を夢見て、笠戸丸移民で来られた方々は、奥地のコーヒー園で言葉にできない辛い思いをされたが、100年経った今、私達「新」移住者は何の違和感もなくこの街に溶け込んでいる。全て移民(移住者)の方々の血を吐くようなご努力があったからだと感謝の気持ちでいっぱいだ。
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反面不満を挙げたらきりがない。一年中渋滞ばかりでちっとも進まない道路、公共交通機関のお粗末さ、救いようのない治安の悪さ、コソ泥の横行など色々な弱点はあっても、何とか我慢をしながら日々幸せに暮らしていけるのも、家族の守り、絆があってこそと思う。節目の日に、ブラジル・サンパウロに対する感謝と、家族への感謝をささげ、気持を新たに頑張っていこう。
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by beijaflorspbr | 2008-11-16 16:48 | サンパウロ生活情報


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