ハチドリのブラジル・サンパウロ日記

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2016年 02月 03日

レストラン新鳥ついに閉店

サンパウロ市内にある高級和食レストラン新鳥(敷地面積1,800㎡)が40周年を迎えた2015年12月23日に閉店した、という新聞ニュースを目にした。新鳥(旧燦鳥)といえば、色々な想い出が次々と頭に思い浮かぶ。1975年に建てられたこの立派な建築物は、釘一本使わない伝統的な日本家屋で有名だった。庭は忠実に日本庭園を再現し、良く手入れされた池には錦鯉が優雅に泳いでいた。立地もサンパウロ市内目抜き通りのパウリスタ大通りから一本下がった一等地に位置するため、大切な会食は良くこの店で行われたものだった。
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1976年結婚する前にサンパウロに様子を見に来た時、トリオさんが最初に連れてきてくれたお店がこの高級レストランの「燦鳥」だった。今より随分若かった私は(当たり前か…)当時は珍しかったシャブシャブ定食をお腹いっぱい食べて「結婚したらいつもこんなお店で美味しいものを食べられるのかしらん?」と勘違いをしてしまった。しかも、購入した新居も燦鳥まで歩いて2-3分という至近距離。果たして1970年代のブラジルは、今よりも景気が良かったのだろうか?いや、今考えてもこれは典型的な「釣った魚に・・・」と断言できる(笑)このお店のスタイルは、店内に入ると、必ずバーに案内されて座り、飲み物を注文するシステムだった。このお店のバーの夜の雰囲気が特に良かった。ライトアップされた日本庭園を見つめながらドリンクを口にし、ゆっくりと料理を注文する。薄暗い店内には静かに流れるBGMと楽しそうに歓談する大人だけの空間が当たり前のように漂っていた。当然安心して大切なお客さまを案内できる店だった。東北から父の知人の社長さんたちを案内したのもこのお店だった。
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この40年という長い歴史の中でも、このお店は時代の流れに翻弄され続けた。日本のサントリーグループが「レストラン燦鳥」として経営していた1975年ー2005年の30年間は、良く家族や友達と通ったものだった。特に2000年に入ってからは、1000円ー2000円くらいのリーズナブルなランチを提供していたため、気軽に通ったものだった。もう少し値の張る「松花堂弁当」や「鉄板焼き」「天ぷら」などを食べる時は、義姉が良く連れて行ってくれた。2階一番奥には分厚い絨毯が敷かれた広くて豪華なサロンがあり「ブラジルを知る会」の講演会やサンパウロ日本人学校の卒業後の送る会、果ては企業のパーティーなどで良く行っていたものだった。このサロンは、まともに借りようとすると、とんでもなく高額になってしまうので、知る会では上手に交渉して「サロンを借りる代わりに全員食事をします」という条件で無償で借りたこともあった。ある意味ここで催し物をすることは、ステータスだった時代も確実にあった。しかし、2005年「燦鳥」が企業投資家グループに売却をして「新鳥」に変わった後は、行くことはほとんどなくなってしまった。
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店構えは立派なものの、残念ながら、私たち日本人の間で「新鳥」の評判は決して良くなかった。1970年代にブラジルに来た我々は、どうしても同店に夢や期待が膨らみ過ぎて困る。「あのお店は特別な時のためのお店」という認識があった貴重な場所だった。特別な場所はいざという時のために取っておきたいものだ。近年は「知る会グループ」の全体会議である総会の場となっていた。会議の後に出されたのがこの「松花堂弁当」(写真は最後に食事をした2015年9月時のもの)全くトホホ…な内容だ。おまけにそんなに安くもない。
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これにご飯、お味噌汁、漬物が付くとはいえ、このクォリティーはあまりにも寂しすぎる。お弁当の一角に天だしを入れるなど、お粗末な内容に皆で絶句した。こんなお弁当を出すようではこのお店も長くないな、とこの時思ったのは私だけだろうか?案の定、この日から3か月後に同店は閉店へと追い込まれた。元々「新鳥」の運営会社は、この店そのものに価値を見出していたと言うより、このロケーションや不動産そのものに価値を見出していたと前出の新聞記事には書いてある。やる気のない店だったのだということは、後で知ることとなる。新鳥閉店後は、きっと跡地に大きなビルが建つことだろう。「新鳥」は規模を小さくして再開すると書かれてはいるが、同じ料理人が作るのであればあまり行きたくないなあ~~~(-_-;)高級和食店「らん月オブトウキョウ」に続き、また一つ和食の名店が扉を閉じた…。このブログ内の参考記事は4項目だけ?この10倍以上は通ったのにね!想い出多き燦鳥&新鳥よ、さようなら。


by beijaflorspbr | 2016-02-03 22:23 | サンパウロのレストラン | Comments(4)
Commented by ぴっち at 2016-02-03 23:58 x
レストラン新鳥の閉店、さびしいですね~
2009年に訪問した際、かつての店が名前を変えていました。
80年代前後の駐在中、2~3度しか行っていませんが、
ブラジルとは思えない和空間と料理でしたね。

堀江先生ご夫婦のお元気な様子を拝見しました。
ありがとうございます。
仲良く年を重ねられて、お幸せそうです!
ハチドリさんご夫婦も、きっとそうなりますね。
Commented by beijaflorspbr at 2016-02-04 22:44
★ぴっちさん、いつも温かいコメントをありがとうございます。
新鳥の閉店は、時間の問題だったかと思います。
近年は顧客も少なくなっており、このお店だけではなく、
サンパウロ市内全体のレストランの売り上げが落ちているということです。
高級レストランもこの未曽有の不況には勝てず、
クレジットカード3回払い(利子なし)というキャンペーンをしています。
我が家も、よほどの用事がない限り外食をしなくなりました。
そんな厳しい時代に突入したということなのでしょうか。
ぴっちさんも想い出を大切になさってください。

堀江先生ご夫妻にお目にかかることは、決して後回しにはできない
大切なことと思っています。
多少無理をしても、上京してちゃんと時間を作るようにしています。
何しろ10代の頃からの原点でもありますので。
この日泰子先生は口紅を付けておられないことを気にしていました。
素顔でもこの笑顔です、本当に会いに行って良かったです。
また次の訪問の時も、写真をたくさん撮ってきますね。
Commented by 築地市場 at 2016-02-13 09:56 x
リオのカルナバウ。いつか行きたいと思いますが、2月の連続休暇と高額な費用がネックです。真夏のリオは亜熱帯なので、やはりかなり暑いんですね。過去に行った二回は冬でしたが日本の夏の格好だったので、想像を絶します。ジカ熱にはご注意ください。
Commented by beijaflorspbr at 2016-02-13 23:14
★築地市場さん
コメント欄が開いていなくてすみません。
日本からの観光客がたくさん来られていましたよ。
この時期かなり高いのは分かるような気がします。
かなり前に予約した我々の料金も、「少し高いな」と思いましたもの。
オリンピックなど尚更高騰するこることでしょうねえ。
それより怖い思いをしないと良いと思います。
いつかいらしてくださいね。
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