2013年 09月 15日
私の家族がいきなりこんなことを語り始めた。我々がビックリしたその内容はこんな話だった・・・ 以下は娘、エルの話。 昨日すごいことがあったんだよ。お昼ごはんを食べて、次の患者さんが来られる前に診療所に戻ったの。いつもなら15分前くらいに戻るんだけど、その日は30分も前に戻ったんだよね。道路を渡ろうとしている私に、ある日本人の(身なりの貧しい)おじいちゃんが「お嬢さんお嬢さんちょっと・・・」と日本語で声をかけてきたの。聞くところによると「自分は田舎の○○という街に住んでいて、サンパウロの息子のところに届け物をしに来た。ところが、息子は居なかったので帰ろうとしたところで強盗に所持金を総て盗られてしまった。田舎に帰るお金がないから少しだけでもお金を貸してもらえないだろうか?」その話を聞いて、すごく可哀想なおじいちゃんだと思ったんだよね。もう少しおじいちゃんの話を聞くために(次の患者さんが来られるまでにもう少しだけ時間があったし)診療所に上がってもらい、更に詳しい話を聞き、お水を飲んでもらって、お財布にあったお金とメトロの切符とお水1リットルをあげて帰ってもらったの。だって、もしこれが自分のおじいちゃんやパパだったらと思うと、同情せずにはおれなかったんだ。怪しいな、なんて全然思わなかった。同じ日本人を助けられて好い事をしたと今でも思っているよ。 この話を聞き、うーーーーーん、と夫婦で唸ってしまう。明らかに詐欺の手口だ。昔、邦字新聞で同じような手口でリベールダージ界隈を放浪しているお年寄りが居た、という記事を読んだことがあった。そのお年寄りは、援護協会に保護された後、どこかの施設に送られたと書いてあった。ブラジルも日本人移民が始まって105年になる。色々な境遇の人が居て当たり前だ。 昨日ある日系大物政治家Gが病気で亡くなった。汚職でもかなり有名になったその人の葬儀には、現大統領や前大統領も参列した。同じ日系社会のあまりにも対象的な二つの話にしみじみ考えさせられてしまった。 生活に困窮するこうした日本人のお年寄りを救えるセーフティネットがこの街サンパウロにはあるのだろうか?皆が皆豊かで幸せを実感出来ているわけではないだろう。せっかく縁があって日本からは一番遠い国、ブラジルまでやってきたのだもの。最期まで幸せを感じる時間をより多く持って欲しいと願う。もしかしたら、こんなことを考える私の視点こそ「上から目線」なのかもしれないと思った、何故なら、少なくとも我が娘は同じ目線で彼と接したからだ。彼女は、うまく騙されてしまったかもしれないけれど今でも「おじいちゃんの助けになれて本当に良かった!」と信じて疑わないのだから・・・。 我々両親の結論は、こんな優しい娘になってくれてありがとう、でもさ、二度と騙されないでよ!が本音。ケチな私たちなら、きっとメトロの切符代の3レアルだけあげて、「リベルダージにある援護協会に行き相談しなさい」と突き放すだろうね。娘は昔からとても優しい子だった。私の父が瀕死の時も、自ら看病を買って出てくれた。その恵まれていないおじいちゃんの姿と、病弱だった自分のおじいちゃんの姿をオーバーラップさせたんだろうねえ、それなら良く分かる話だ。まあとりあえず彼女自身も無事で良いことをしたと思っているのだからめでたしめでたし・・・かな?(−_−;)?
by beijaflorspbr
| 2013-09-15 17:58
| 家族
|
Comments(4)
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とんぼう
at 2013-09-15 19:58
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素敵なお話をありがとうございました。他人に幸せを分けてあげられる人は幸せな方です。他人から何かをもらわなければならない方は不幸せな方です。お嬢様は菩薩の生まれ変わりです。すばらしい。エルちゃんの未来に栄光あれ!
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uno2
at 2013-09-16 10:00
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はじめまして。ブラジルに旅行したいと思ってサイトチェックしてこのブログを見つけました。楽しく読ませていただいています。特に、グルメ系の話題がとても気に入っています。この詐欺の話はいま日本でも流行っています。こういうことには国境がないのですね。「オレオレ詐欺」もあるのでしょうか。これからブログ楽しみにしています。
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beijaflorspbr at 2013-09-16 11:18
★とんぼうさん、こんばんは
こちらこそ、こんなこと書いちゃっていいのかしら?なんて戸惑いつつも 娘の身になって一生懸命書いてしまいました。 とんぼうさんにステキなお言葉を頂き、娘もさぞ喜ぶと思います。 彼女は何故か昔から人を分け隔てなく接することのできる優しい子です。 例えば、私がちょっと黒人は苦手かな?なんて口ずさもうものなら 「ママ、人間はみんな平等なんだよ、そんな考えは間違っている。 良い人もいっぱいいるし、白い人の中にも悪い人はいるんだから」 とお説教されてしまうんですよ。トホホ…。 この話を聞いて、トリオさんと改めて普通に暮らせることの幸せを 噛みしめた次第です。 本当にありがとうございます!
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beijaflorspbr at 2013-09-16 11:23
★uno2さん、初めまして。ようこそハチドリブログにお越しくださいました!
たくさんあるサンパウロブログの中から、見つけ出してくださり、 嬉しいです。最近はすっかり出不精になったのと、外食がどうも 脂っこい感じがして、なかなか足が向きません。十分な情報が 発信できず、申し訳ありません。 そうですよね、日本も「お母さん、なんとか詐欺」がありますものね。 ちょっと前のサラリーマン川柳で 「振り込めと 言われたその額 持ってない」 というのがありましたが、我が家もその手で行こうと思います(笑) 騙す人は気持ちが良いのでしょうか?疑問がたくさん残る一件でした。 これからももし分からないことがありましたら、何でもお聞きくださいね。 分からないことは調べてお返事させて頂きますので。 これからもどうぞ宜しくお願いいたします! |
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ブラジル・サンパウロ生活48年のハチドリです。ごく普通の日々を元気いっぱい綴ります。記事内容や、ご質問・お問合せは、連絡用メールアドレス…【beijaflorspbr●gmail.com(●を@に)】まで。※なお、本文に必ず氏名(本名)をお書きください。 by ハチドリ カレンダー
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