ハチドリのブラジル・サンパウロ(時々日本)日記

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2012年 06月 22日

【訃報】みつぎのおじさん、さようならそしてありがとう

サンパウロに住む日系人の拠り所、リベルダージ地区で約50年の長きにわたり魚屋さんを営んでこられた三木 宗三郎(通称:みつぎのおじさん)が8日前の6月14日に亡くなられたそうです。享年77歳でした。私にとっては大切な大切な方でした。ここのところ、サンパウロは雨続きで、体調不良のせいもありなかなかリベルダージに足が向きませんでした。今日、市役所に用事があったトリオさんが帰りに魚を買ってきてくれた際に、三木さんの奥さんから亡くなられたことを聞いたそうです。みつぎのおじさんは、まさにガルボンブエノの宝物のような存在でした。私にとってもまるでお父さんのような近しい方でした。お喋りが大好きで、いつもいつも長話をする中で励まされたり笑ったりお魚の知識もたくさん身に付きました。みつぎのおじさんが残されたコラムの数々をオマージュに…。
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(ニッケイ新聞2003年のコラムより抜粋)
≪魚屋さんの入れ知恵=アンショーバの塩焼き≫

アンショーバはマスの一種、そう勘違いしている日本人は少なくない。サンパウロ市の駐在員夫人が作っている生活情報のホームページにも「身の白いマス」とあった。 「まったく別物。卵からして違う。マスは基本的に淡水に生息するものですしね」 リベルダーデ区で魚屋を営む三木宗三郎さんは混乱の理由を「昔、魚河岸で働いていた日本人が勘違いしたのだろう」と推測する。 アンショーバは英名ブルーフィッシュ。その正体はオキスズキの一種のようだ。アメリカ東海岸の魚屋によく並んでいるらしい。ブラジルではリオからサンタカタリーナにかける海域でよく捕れる。 バーベキューには最適の魚だろう。「岩塩を降りかけて少し置く。その後、一度洗って焼くときにまた塩を振る」のが三木さん流。 フォルノで焼き上げる場合はウロコを取った方がベターだが屋外の網焼きならウロコありでも問題ないそうだ。 「イワシ、タイ、ブリ……もし手に入ればマグロのカマや頭もいいよね」。野趣あふれるバーベキュー。肉もいいが、日本人はやっぱり魚だ。 三木さんのところでアンショーバは現在一キロ十二レアル前後。「一時期良いものが手に入らなかったけれど、これからまた脂の乗ったのが入荷できそう」。

≪魚屋さんの入れ知恵=カツオのたたき≫ 

昔から「勝男」とも書いて縁起の良い魚とされてきたのがカツオだ。英名は「ボニート」。ブラジル語でも同じく。つまりは「美男」でもある。 カツオというと有名な「目に青葉 山ホトトギス 初鰹」の句が思い出されるが、夏のカツオだってもちろん悪くない。脂もほどよく乗っていて特に血合いの部分はレバーに匹敵する栄養があって疲労回復、貧血の予防効果もあるとか。 リベルダーデで唯一の魚屋を営む三木宗三郎さんは「でも一番旨いのはハガツオだろうね。身がやわかかくて刺身が絶品」と話す。 カツオにはカツオ以外の仲間がいる。ヒラソウダ、マルソウダ、スマガツオ、ハガツオがそれだ。マナガツオなんてのも聞くがあれはイボダイの親戚ともいわれる。平べったく丸々しているためブラジルでの通称は「ゴルジーニャ」。西京焼き、照り焼きに最適の魚だが、三木さんは「焼くと多少パサつく感がある。汁気を多めに」と助言する。カツオはなんといってもたたきに勝るものはなかろう。たれにポン酢醤油、薬味にあさつき、しその葉、しょうが、にんにくを用意する。魚は皮付きの身からさっと焼いて次に反対側に火を通すといい。身が白っぽくなってきたら氷水で冷やせば完成だ。どこかで読んだ、ある古老の高知県人二世の昔話が印象に強く残っている。それはかつて自分の父親が日本酒「東麒麟」の瓶を包んでいた藁を用いてカツオを焼き、たたきを作ってくれたというものだった。いかにも古き良きコロニアの一場面である。 しかし藁を着た瓶の存在は初耳だったので製造元に聞けば一九五〇年頃からの一時期、確かにあったと。二本詰めケースが販売され瓶の保護用に藁が使われていたそうだ。 そんな藁で焼いた土佐の名物にはほのかなブラジルの風味がしたことであろう。いまでは残念ながら食べることの叶わない味だ。

≪魚屋さんの入り知恵=鯖の船場汁≫

三木宗三郎さん(六九)はリベルダーデ区ガルボンブエノ街三六四にあるガレリア内で魚屋を営んで三十年以上になる。「昔はこの界隈にも七、八軒の魚屋があったけどね……」。かつての同業者は次々と店をたたみ、街を去っていった。「もう骨の芯まで魚の匂いが染み付いているよ」と笑う三木さんに旬の魚を尋ねた。「今はたいがいの魚がおいしいね。鯵、鯛、ハマチもいいよ」との答え。意外なところでは鯖の名前が挙がった。チリからの輸入品だというが、「日本のものに負けないくらいに立派。卵がたくさん入っているし油も乗っている」。さてどう食すか。三木さんは「締めたらやっぱり最高」というが。関東と関西では鯖の食べ方に大きな違いがあることはよく知られた事実。例えば関東ではポピュラーの「鯖の味噌煮」も関西では「鯖の塩焼き」が一般的。関東には古くから「鯖の生き腐れ」の印象が根強いせいでもある。関西の方が料理方法も多い。ポルトガル語で「船底」を意味する「バッテラ」(鯖寿司)や船場汁などはその代表的なものだろう。今回は「船場汁」のレシピを紹介する。デパートに夏物が並んでも冷え込む夜はある。そんなとき家族団欒の一品としていかが。
材料(四人分)
○鯖のあら(頭・中骨・脇骨)一尾○ワケギ二分の一把○スダチ二個
○大根四分の一○ショウガ少々○アサツキ二分の一○醤油、みりん、酒各種適量。
あらをほどよい大きさに切り、強塩をしてしばらくおく▽熱湯にあらを入れ、ひと煮立ちしたらすぐに冷水に取り、血合いやウロコをていねいに取り除く▽大根とニンジンは厚めのイチョウ切りにしゆでこぼす▽絹豆腐は小角に、ワケギは四センチ長さに、スダチは半分に切る▽鍋に水六カップを張り、あらと野菜を入れ、つめ昆布を加え、煮立ったら昆布を取りだし、浮いたアクをすくい取る▽野菜が柔らかくなったら、酒、塩、薄口醤油で味を調え、豆腐とワケギを加える。椀に盛り、スダチを絞っていただく。

(ニッケイ新聞 2010年12月17日付け)
先日発表されたエスタード紙の「プレミオ・パラダル2010」(味覚賞)の東洋料理部門第1位に、バロン・デ・イグアッペ街の居酒屋一茶の「たこ焼き」が選ばれたことに驚いた。審査員が20日間に47皿を9部門に分けて賞味した結果だ。日本では庶民食のたこ焼きが、25レアルと少々〃しょっぱい〃値段になっているがコラム子も確かに美味いと思った。ただし個人的には同店のお好み焼きの方が気に入っている。
▼日本食の代表といえば文句なしに「寿司、刺身、天ぷら」であり、食に保守的な伯人はかたくなにその砦を崩さなかった。隔世の感を覚える
▼同部門2位は原口雅信シェフの腕が冴える「雅」の「鍋焼きうどん」。駐在員の御用達ともいえるメニューが伯人グルメにも理解されるようになった。「一茶」は妻マルガリーダさんの経営だから原口夫妻で上位独占だ
▼その他、有名店「ジュン・サカモト」(坂本淳シェフ)もエントラーダ部門で、「木下」(村上強志シェフ)も野菜料理部門で2位に輝く
同特集号で特筆したいのは最終章の「ディスペンサ」(食糧庫)で、東洋街唯一の日系鮮魚店の三木宗三郎さんが堂々と写真付きで紹介されていたことだ。しかも「リベルダーデの小さな宝石たちの一つ」と称えている
▼コムニダーデ向きの鮮魚店であり、ジャルジンスなどの日本食関係からすれば実に地味な存在だがしっかりと照明が当てられている。一般社会からのコムニダーデへの温かい気遣いを感じる
▼そのうちアデスキやエスペランサ婦人会、聖母婦人会、県人会婦人部などの〃お袋の味〃も伯人グルメに〃発見〃されるかも?!


人によれば無口で愛想がないので取っつきにくいという方もいますが、個人的には随分お世話になり優しくして頂きました。2010年の6月にミソに噛まれて食事が作れなかった時もみつぎのおじさんが切り身をお刺身にして切ってくださいました。その時の記事はコチラです。一切れ一切れを丁寧に切ってくれた優しいおじさんの顔が思い浮かびます。「奥さん、今日もうまい魚がいっぱいあるよ!」おじさんの優しい声が聞こえてきます。外は雨、ひたすら悲しく寂しい夜です。。。

みつぎのおじさんのご冥福を心よりお祈り申しあげます。
36年の長きに渡り、大変お世話になりました。ありがとうございました!

by beijaflorspbr | 2012-06-22 10:28 | 友達 | Trackback
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